厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成22年度 総括・分担研究報告書

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成22年度 総括・分担研究報告書(page 6/94)[厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成22年度 総括・分担研究報告書]

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概要:
体重増加は併用療法群で対象群に比べて有意に増加していた。小脳および血清の銅濃度、小脳チトクロームCオキシダーゼ活性は併用療法群で対象群に比べて高い傾向が認められた。併用療法群の肝機能、腎機能および血液....

体重増加は併用療法群で対象群に比べて有意に増加していた。小脳および血清の銅濃度、小脳チトクロームCオキシダーゼ活性は併用療法群で対象群に比べて高い傾向が認められた。併用療法群の肝機能、腎機能および血液一般生化学検査に異常は認められなかった。②患者への新規治療の実施7名のMenkes病患者でヒスチジン銅皮下注射とノックビン経口投与の併用療法を開始した。年齢は3歳~15歳で、6例は男児、1例は女児であった。7例ともヒスチジン銅の皮下注射をすでに行っている患者であった。ヒスチジン銅は原則今までの投与量で行った。ノックビンは30 mg/日から開始し、徐々に増量し、約10 mg/kg/日で現在経過を観察している。1例での血清銅とセルロプラスミン値の変動を図2に示す。血清銅およびセルロプラスミン値は併用療法により、明らかに上昇した。また、よく笑う、上肢をよく動かすなどの全身状態の改善が見られた。全例において明らかな副作用と思われる症状や一般検査の異常は見られていない。1例のoccipital horn症候群でノックビン経口投与を開始した。現在明らかの副作用は認めていない。D.考察本研究は平成22年度の2次募集の事業で、採択日は平成22年8月26日である。採択後にアンケート調査、動物実験、患者への治療を開始したものであるため、研究期間が短く、十分な成果はまだ得られていない。しかし、現在も研究は着実に進行中である。今までの結果では、大まかに算定してMenkes病は男子出生100万人に約8.03人の発症(62例/過去10年間の男子出生数)、occipital horn症候群は男子出生の約68万人に1人と考えられる。今後、登録患者を詳細に検討することにより、より正確な発症頻度が明らかになる。また、現在2次調査を実施しつつあり、それにより発症前の詳細な症状が明らかになり、早期診断法を確立する予定である。モデルマウスおよび患者での研究成果では、併用療法時の血清銅およびセルロプラスミン値は、銅注射のみの場合に比べて、明らかに上昇した。これは腸管での銅の吸収が改善していることを示唆している。さらに、モデルマウスでは、脳内の銅濃度およびチトクロームCオキシダーゼ値が改善する傾向が認められた。これらの結果は、銅が脳血液関門を通過して神経細胞に輸送され、銅酵素であるチトクロームCオキシダーゼに利用されていることを示唆している。すなわち、当初に期待した効果が見られていると言える。また、明らかな副作用は認めていない。患者家族も患者が元気になったことを実感しており、本併用療法が治療法として有効であることを示唆している。今後、モデルマウスおよび患者での長期的効果を検証し、確立した治療法を提唱する予定である。E.結論Menkes病およびoccipital horn症候群は希少疾患で、現在有効な治療法がない。全国主要小児科に対して実態調査を行い、発症頻度を検討した。Menkes病は男子出生100万人に約8.03人、occipital horn症候群は男子出生の約68万人に1人と推定さ4