厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業) 「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」 平成23年度 総括・分担研究報告書

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業) 「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」 平成23年度 総括・分担研究報告書(page 5/118)[厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業) 「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」 平成23年度 総括・分担研究報告書]

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天奇形の発症率である1.9%より有意に高かった。主な小奇形は、高口蓋、小頭症、脳または肺のう胞、房室ブロック、眼裂狭小、停留睾丸であった。これら奇形を合併する児では本症を疑う必要があると考えられた(顧艶紅....

天奇形の発症率である1.9%より有意に高かった。主な小奇形は、高口蓋、小頭症、脳または肺のう胞、房室ブロック、眼裂狭小、停留睾丸であった。これら奇形を合併する児では本症を疑う必要があると考えられた(顧艶紅、p75-82)。広報活動:公開シンポジウムを平成24年2月19日に帝京大学で開催した。約50名の関係者が全国から参加した。Menkes病患者家族会代表の方にも講演していただき、患者家族の抱えている問題点や医療関係者への要望を聞くことが出来た。さらに患者家族と話し合う場を設け、お互いの情報交換を行った(p111-112)。2.遺伝子型―表現型の関連の解明今までの解析も含めて57例のMenkes病患者および2例のoccipital horn症候群患者の遺伝子解析を行った。occipital horn症候群はsplice-site変異とmissense変異であることを明らかにした。Splice-site変異はリアルタイムRT-PCRで残存活性が存在することが確認された。遺伝子解析結果は遺伝カウンセリングを行い、患者家族に報告した(担当:黒沢、藤澤)。3.新規治療法(ノックビン経口投与とヒスチジン銅皮下注射)の確立①モデルマウスを用いた新規治療の短期的および長期的効果および副作用の解明体重増加は併用療法群で対象群に比べて有意に増加していた(平均体重増加:併用療法群20.33±0.34g:対照群18.64±0.49g)。小脳および血清の銅濃度、小脳チトクロームCオキシダーゼ活性は併用療法群で対象群に比べて有意に改善を示した(p13-22)。短期併用療法群の血算、肝機能、腎機能および血液一般生化学検査に異常は認められなかったが、長期併用療法群の一部で肝機能異常が認められた。今後の課題と考えられた。②モデルマウスでの新規治療での銅の脳への取り込みと保時の研究マクラマウスでの64Cuを用いたmicroPETの実験では、ノックビン投与マクラマウスでは、Cuの脳への取り込みが、ノックビンを投与していないコントロールマクラマウスに比べて、有意に多かった。さらにCuが長時間脳に保持された。すなわち、ノックビン併用で、銅の脳への移行を保持が、画像検査においても証明することが出来た(p94-102)。③Menkes病患者の培養皮膚線維芽細胞を用いた新規治療効果のin vitroの検討本症患者の線維芽細胞では、銅が細胞外に分泌されず、細胞内に蓄積する。培養液にDEDTCを添加し、48時間培養し、その培養液中のlysyl oxidase (LOX)活性と細胞内銅濃度を検討した。DEDTC添加群のLOX活性は、DEDTCを添加していないMenkes病患者線維芽細胞群(コントロールMD細胞群)に比べて、有意に高値を示し、正常対照線維芽細胞群と同等の活性を示した。DEDTCが銅と結合してサイトゾルからゴルジ体への銅の輸送を改善し、分泌銅酵素LOX活性を改善することが示唆された(p103-110)。○4患者への新規治療の実施7名のMenkes病患者でヒスチジン銅皮下注射とノックビン経口投与の併用療法を開始した。年齢は3歳~15歳で、6例は男児、1例は女児であった。7例ともヒスチジン銅の皮下注射をすでに行っている患者であった。ヒスチジン銅は原則今までの投与量で行った。ノックビンは30mg/日から開始し、徐々に増量し、約10mg/kg/日で現在経過を観察している。これらの成果は、平成23年10月の国際学会(ISTERH)でシンポジウムとして取り上げられ、諸外国の研究者に強い関心を持たれた。さらに英文論文として受理