タイトル厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書
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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書
図1.正常人の銅の代謝図2.銅の細胞内代謝全身組織(100 mg)脳(20 mg)、筋肉(35 mg)、腎(5mg)、結合織(10 mg)胆汁排泄(2 mg/日)アルブミン-Cuセルロプラスミン-Cuアミノ酸-Cu (4.3 mg)(0.2 mg)RBC (5.5 mg)腎尿中Cu(10~50μg/日)肝(20 mg)①食事中の銅(2-5 mg/日)吸収(2 mg/日)腸便中の銅(2-5 mg/日)①ATP7B:銅輸送経路:正常ではminor pathway( )は正常成人の1日量Culotta VC et al. The Metab& Mol Basis of Inher Dis.CTR1ATOX1ATP7A/BATP7A/BGolgi apparatusCCSCOX17COXPlasmaSOD1ATP7BCTR1 : copper transporter 1 COX : cytochrome C oxidaseATP7A/B : copper-transporting P-type ATPase SOD : superoxide dismutaseMTMitochondriaMT図3. ATP7A/Bの構造図4. Menkes病の細胞内銅代謝病態PlasmaCu-enzymes(LOX, DBH)PlasmaCu-enzymesMTMT MTMTMTGolgi apparatusMTMTMTMTATOX1 MTMT(HAH1)MTMTCTR1MTMTMTGolgi apparatusATP7AATOX1(HAH1)CTR1MTMTMTMenkes cellsCTR1 : copper transporter 1ATP7A : copper-transporting P- type ATPase: copperNormal cells常で、ATP7Aの機能障害により発症する4, 5)。ATP7Aが機能しないと、銅はサイトソルからゴルジ体内に輸送されない。その結果、銅はサイトソルにメタロチオネインと結合して蓄積し、ゴルジ体は銅欠乏になる。ゴルジ体の銅欠乏により、分泌銅酵素の活性低下をきたす(図4)。MDでは腸粘膜細胞のATP7A機能低下により、経口摂取された銅は腸粘膜に吸収されるが、体内に分泌されないために、体内は著明な銅欠乏になる(図5)。肝臓での銅欠乏により、血清セルロプラスミンおよび銅は低下する。その他の細胞では、銅の供給が低下するため銅欠乏の状態になっている。さらに、細胞内ではATP7Aが機能しない結果、ゴルジ体内は著明な銅欠乏になり、銅分泌酵素であるリシルオキシダーゼやドーパミンβヒドロキシダーゼ活性は低下する(表1) 2, 3)。血液脳関門を構成する脳血管内皮細胞およびアストロサイトの銅輸送にもATP7Aが関与しており、MDでは、血液脳関門に銅が蓄積し神経細胞に輸送されないことがモデルマウスで報告されている(図6) 6-8)。48