タイトル厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成24年度 総括・分担研究報告書
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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成24年度 総括・分担研究報告書
厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)Menkes病・occipital horn症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究分担報告書研究課題:「早期新生児期の尿HVA/VMA比の基準値の検討」分担研究者八木麻理子(神戸大学大学院医学研究科小児科学、助教)研究要旨Menkes病に対する銅補充療法は、生後早期に開始することにより中枢神経障害を予防、あるいは軽減できるとされており、早期診断・早期治療は重要だが、新生児期のスクリーニング方法は確立されていない。Menkes病では、銅酵素であるdopamine-β-hydroxylase(DBH)の活性が低下する結果、尿HVA/VMA比が上昇しており、これを利用してスクリーニングが可能(cutoff値:4)であること報告されている。本研究では、早期新生児期のMenkes病のスクリーニング方法として尿HVA/VMA比を利用するために、在胎32週~41週で出生したMenkes病非罹患児112例を対象として、早期新生児期の尿HVA/VMA比の基準値を検討した。尿HVA/VMA比が4を超える危険因子として、人工換気療法(odds ratio;21.94、CI;2.82-247.03;p=0.004)が明らかになった。人工換気療法を施行されなかった92名における尿HVA/VMA比は、2.47±0.67(0.73-4.34)であり、cutoff値を超えたのは2例(2.2%)であった。尿HVA/VMA比は、早期新生児期においてもMenkes病のスクリーニングのために利用できる可能性が高いと考えられた。A.研究目的Menkes病患者に対する銅補充療法は、生後2か月以内に開始することにより中枢神経障害を予防あるいは軽症化できる場合があることから、早期診断および早期治療は非常に重要である。しかし、新生児期にはMenkes病の特異所見は乏しく、母体由来の銅が欠乏する生後2~3か月以降に難治性けいれんや発達の遅れなどの神経学的所見が顕在化した後、診断に至る例が多い。Menkes病では、銅酵素であるdopamine-β-hydroxylase(DBH)の活性が低下しdopamineからnorepinephrineへの水酸化が障害された結果、それぞれの代謝産物であるhomovanillic acid(HVA)が上昇、vanillylmandelic acid(VMA)が低下する。このことを利用して、月齢6の乳児(n=21,554)と比較するとMenkes病症例では尿HVA/VMA比が高値(cutoff値:4)を示すことが報告されている。しかし、健常新生児の尿HVA/VMA比のデータはなく、新生児期のMenkes病のスクリーニングへの尿HVA/VMA比の応用の可否は不明である。そこで本研究は、早期新生児期の尿HVA/VMA比の基準値を検討することを目的として本研究を実施した。B.研究方法(1)対象対象は、2011年11月~2012年11月に神戸大学医学部附属病院NICUに入院した、在胎32~41週にて出生した新生児で、日齢6までに採尿できた112例である。診療録より、出生体重、性別、アプガースコア(1分値/5分値)、人工換気療法の有無、黄疸の有無、採尿時の投与薬剤等についての臨床情報を得た。尚、本研究は神戸大学医学倫理委員会の承認を得、保護者より書面による同意を得て行った。─10─