タイトル厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成24年度 総括・分担研究報告書
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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成24年度 総括・分担研究報告書
さらに、単変量解析にて危険率5%未満であった因子について多変量解析を行った。その結果、人工換気療法が尿HVA/VMA比を上昇させる独立した危険因子であることが明らかになった(oddsratio;21.94、CI;2.82-247.03;p=0.004)(Table2)。(3)人工換気未実施例(n=92)における尿HVA/VMA比尿HVA/VMA比が4を超える危険因子である人工換気を行わなかった92例のみを対象として検討した結果、尿HVA/VMA比は、2.47±0.67(0.73-4.34)であった。尿HVA/VMA比が4を超えたのは、92例中2例(2.2%)( 4.17、4.34)であった。D.考察Menkes病では銅補充療法を生後2か月以内に開始することにより、その中枢神経障害を予防あるいは軽症化できるとされており、早期診断が非常に重要だが、新生児期のスクリーニング方法は確立されていない。Matsuoらは15例のMenkes病患者(4?171か月)と21,554例の6か月乳児の尿HVA/VMA比を比較し、Menkes病患者では尿HVA/VMA比が上昇していること、cutoff値を4とすることでスクリーニングが可能であることを報告した(Matsuo, et al. J Inherit Metab Dis. (2005))。本研究では、尿HVA/VMA比を早期新生児期のMenkes病スクリーニングに応用するために、健常新生児における尿HVA/VMA比の基準値を検討した。在胎32週以上42週未満の早期新生児112例を対象に検討した結果、人工換気療法の実施が有意に尿HVA/VMA比をさせることが明らかになった。単変量解析では、アプガースコア(1分値、5分値)低値、カテコラミン投与、カテコラミン以外の薬剤投与、経腸栄養未開始が尿HVA/VMA比の上昇に対する危険因子であったことも考慮すると、生後急性期の病態が尿HVA/VMA比の上昇に影響を及ぼすことが考えられた。早期新生児期の尿HVA/VMA比をMenkes病のスクリーニングに用いる場合は、出生直後の人工換気を要するような重篤な状態を脱し、安定した時期に採取した尿検体を用いて測定し評価する必要があると考えられた。尿HVA/VMA比を上昇させる危険因子である人工換気療法を実施していない92例について検討した結果、尿HVA/VMA比は2.47±0.67であり、cutoff値として報告されている4を越えたのは2例(2.2%)のみであった。早期新生児期においても、尿HVA/VMA比をMenkes病のスクリーニングに用いることが可能であることが示唆された。E.結論早期新生児期においても、尿HVA/VMA比をMenkes病のスクリーニングに応用することが可能だが、出生直後の急性期を脱し、ある程度安定した時期に採取した尿検体を使用する必要がある。F.健康危険情報無し。G.研究発表1.論文発表投稿予定2.学会発表1.八木麻理子、李知子、粟野宏之、森岡一朗、児玉浩子、竹島泰弘.家族歴にMenkes病を認める新生児3例の臨床像の検討.第54回日本小児神経学会総会.2012年5月17日?19日、札幌.2.Mariko Yagi, Noriko Kusunoki, Tomoko Lee,Hiroyuki Awano, Tomoyuki Yokota, AkihiroMiwa, Akio Shibata, Ichiro Morioka, YasuhiroTakeshima, Kazumoto Iijima. Standard valueof urine HVA/VMA ratio in the early neonatalperiod to screen for Menkes disease.American Society of Human Genetics 2012─12─